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矯正治療実況中継 第1回

治療開始:2010年3月
治療開始年齢:26歳  性別:女性
診断:中立咬合

第1回目は診断をおこないました。写真撮影やレントゲン撮影でお口の状態を把握し、治療計画を立てます。
今回は、非抜歯で歯を並べたときに口元がどう変化するか、模型を作って実験してみることになりました。治療前と非抜歯治療後の口元の違いをご確認ください。

診断

でこぼこの歯並び

26歳の女性が歯のでこぼこを主訴に来院されました。…なんて、当院の歯科衛生士のTMさんです。

中立咬合

上下の噛み合わせはあまり問題ないですね。
中立咬合です。

治療前の上下顎

上下の前歯にでこぼこがあります。これを治さなくてはいけません。
治すと歯並びはもちろん綺麗になります。その上、歯と歯ぐきがもっと健康になります。

治療前の横顔

横顔はとても綺麗です。歯の位置と口唇の軟組織のバランスがとれています。

非抜歯で並べた歯列

え!歯を抜きたくない?
それはそうですね。歯科衛生士たるもの、歯の大切さはとてもよく学んできています。
それでは、抜かないで並べたときにどんなお口になるかシミュレーションしてみましょう。

治療前の歯の模型

治療前の歯の模型です。

歯型の模型

模型のコピーを作り、歯をばらばらにします。

歯列の模型

土台の部分を拡大して、でこぼこをとって歯を並べました。
俗に言う非抜歯治療です。

非抜歯の歯列

よくかんでるでしょ!

上顎の比較

横にも拡げますが、限界があります。前方にも広がります。左側がオリジナルの上顎の模型、右側が拡大してでこぼこをとった上顎の模型です。右側の前歯は数ミリ前方に出ています。

下顎の比較

下顎です。下顎の前歯も前方に出ました。

非抜歯治療の横顔

さて、拡大治療をしたときの横顔はどんなになるんでしょうか?

印象採取

印象剤でセットアップ模型のコアを取ってオリジナル模型に戻して、拡大された歯の模型を作ります。

非抜歯模型装着

それを口腔内に戻した状態です。
拡大での治療後の歯の位置に模型がきています。

さて、どんなお顔になったかな?

非抜歯の側貌

治療前の側貌

左が、お口の中に模型が入った横顔です。口元がもったりして、美しくありません。
顎下のラインも変化して太ったように見えます。なんということでしょう。

非抜歯の正面

治療前の正面

正面のお顔も口元が出て、なにか文句がありそうですね。

非抜歯の斜位

治療前の斜位

斜めから見ると、もっと文句がありそう?に見えませんか?

治療計画

ということで、実際の治療方針です。上下顎第一小臼歯を抜歯して治療します。

セファロ

黒い線が現在の状態、青い線が治療後の予測です。
でこぼこの量が結構大きいので、前歯はあまり後退しません。ですから、口唇の変化は少ないです。
でも、もともとバランスはとれている方なので問題ないです。

治療後の予測

治療後の口元は、こんな感じになる予定です。

拡大して凸凹をとると奥歯を横に拡げてもある程度前歯が前方に拡大されるのは避けられません。拡大した方がよいお顔になる方(西洋人に多いです)もいます。個人差もあり拡大が気にならない方ももちろんいます。ここに示すように口唇が前突して美しく無くなる方も存在します。(日本人は多いと思います)
口唇が出るだけで太った印象になったのは驚きでした。

成長期に行う拡大も基本的には同じ変化を引き起こします。拡大による歯の突出による口元の変化が、成長発育と一緒に生じるので、一般の方は「この子はこういう顔なんだ」と思ってしまっていますが、専門家である我々が見ると「拡大して口唇が突出してしまった顔」だと認識できます。
ということはトレーニングを受けていない一般の方でも、比べればわかる変化です。違いがわかるのですから、お顔から受けるイメージも異なると思います。

拡大で両突歯列(上下の歯が土台から過度に前突した歯列)になってしまった方のお顔は、スマイルの時には問題ありません。お口を閉じてまじめな顔になったときにオトガイの軟組織が緊張し、口唇が突出し、口元に不満がにじむ様な印象を与えやすくなります。

歯は大切です。できれば抜きたくはありません。しかしながら、顎の大きさの不調和がある場合には抜歯をした矯正治療を行う必要がある方がいます。そのような方を拡大で直すと明らかに顔貌が乱れます。抜歯する治療も抜歯しない治療もどちらも矯正治療の手段です。「抜かない」ということが手段から目標になりそれによってもたらされた治療結果である顔貌が美しくない、ということがないよう、専門家は治療前にどちらの治療結果も患者さんにお示しし、患者さんは予測された結果をもとに治療を選択するという手順が必要だと思います。治療を行う専門家にその知識が無ければお話しになりませんが…

症例情報
【主訴】歯並びのデコボコを治したい
【診断名】中立咬合、叢生
【年齢】26歳
【治療に用いた主な装置】マルチブラケット装置
【抜歯部位】上顎下顎第1小臼歯
【治療期間】4年8か月 また、治療期間と同程度の保定期間を要する
※当院の従業員の治療のため、一般の患者さんの治療を優先し、通常より治療期間が長くなっています。
【通院回数】治療期間は月に1回程度の通院、保定期間は4か月に1回程度の通院
【治療費概算(自費)】約90万円 ※別途、初診相談料5,500円(税込)、検査診断料55,000円(税込)
【リスク 副作用】
初めて装置を装着した時やワイヤー調整後は、噛むと痛みを感じたり、違和感を持つ場合があります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。

※ 矯正歯科治療は公的健康保険の対象外の自由(自費)診療となります。

※ 治療費用は改定していますので、現在の費用は料金ページをご覧ください。

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