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小学生の矯正治療

子どもの歯並びが気になる保護者の皆様へ

小学生の時期は、乳歯から永久歯に生え変わる「混合歯列期」になります。小学校に上がると、周りでも矯正治療を始め出し、「うちの子は大丈夫?」と心配になる保護者の方々も多いかと思います。
当院院長は、地域の要請で小学生の保護者を対象とした子どもの矯正治療について講演を行うことがあります。子どもの矯正治療はいつから始めるべきか、どのようなケースで治療が必要かなど、ここでは講演でのお話を中心にご説明しています。

講演写真

治療開始は早ければ早い方が良いということはありません

歯並びや噛み合わせの問題は、成長と共に不正が現れてくることが多く、また、乳歯は生え変わるため、早期治療では全て対応できず、かえって治療が長期化する場合があります。
もちろん早期治療が有効なケースもありますので一概には言えませんが、歯の生え変わりで自然に治ってしまうケースなど、早期治療の有効性が低い、または有効性がない患者さんがいることも事実です。

講演写真

関連する情報として、院長のコラムもご覧ください。

八重歯・歯のでこぼこ(叢生)の場合

日本人の4割は顎の大きさに比べて歯の方が大きく、歯とあごの大きさのバランスが悪いために歯列がデコボコになります。乳歯の交換期に隙間が無いと、でこぼこになる可能性は高くなります。
歯のでこぼこの治療は、大きく分けると「土台を拡げる方法」と「歯を抜く方法」があります。

幼い頃にあご(土台)を拡げる治療は本当に良いの?

上顎を拡げる床矯正装置
上顎を拡げる床矯正装置

上顎の骨は真ん中に継ぎ目があり、横に拡げると継ぎ目が開き、それをキープすることで間に骨が作られるため、上の顎に関しては物理的に拡げることが可能です。

一方、下顎は手足と同じ種類の骨のため、歯に力を加えたからといって土台の骨は拡がらず、歯の向きが上に向くことで拡がります。歯の向きが変わっただけなので装置を取ると戻ってしまうため、永久歯の咬み合せが完成する中学半ば頃までキープする必要があるため、とても長い治療になります。
また、拡げ過ぎて歯の根っこが出てしまった方もいるので、顎を拡げる治療も気を付けなければなりません。

歯根の露出
歯根の露出

実際は、こういう装置だけで治療が終わる人はほとんどいないのが現実です。永久歯が生えるのを待って、通常の矯正治療で仕上げをしないと、きちんと終わらないケースが多いのです。
逆に、この装置だけで終わる人はその装置をいれなくてもきちんとした咬み合せになった人であり、結局は矯正治療をする必要がなかったかもしれません。

永久歯まで待って歯を抜く治療のメリット

歯を抜く場合、基本的には上下左右の第1小臼歯を抜くことになります。歯を抜くことに不安を感じる方も多いかもしれませんが、歯の本数は減っても今まで咬んでいなかった全ての歯をきちんと咬むようにしますので、噛む力は大きく改善されます。
無理に歯列を拡げると、成長と共に口元が突出してしまう原因にもなり、審美的に問題になるケースが多くなるため、当院では幼いころに無理に拡げず、永久歯まで待って歯を抜いて治療するのが効果的と考えます。

成長発育と一緒に少しずつ口元が前に出ていくので、本人も家族もそういうものかと思ってしまいます。
成長発育と一緒に少しずつ口元が前に出ていくので、本人も家族もそういうものかと思ってしまいます。
歯を抜いた場合は、口元が後ろに下がる分鼻が高くなります。
歯を抜いた場合は、口元が後ろに下がる分鼻が高くなります。

永久歯が生えてからでも顎は拡げられます

抜歯が不要のちょっとしたデコボコの場合、拡げて収まりがつく場合もあるため、やはり永久歯が生え揃うのを待ってから対処するのが有効だと考えます。永久歯が生えた後でも顎は拡げることはできるので、当院では乳歯がある時期に拡げたりはしていません。

顎の骨を拡げると鼻が通るようになるって本当?

床矯正で顎を拡げると鼻の通りが良くなると言う人がいますが、耳鼻咽喉科の先生曰く、アレルギー性鼻炎は顎を拡げたら拡げた分だけ粘膜も厚くなるため、あまり関係ないと言っています。

下顎前突(下の顎が出ている)/反対咬合(受け口)の場合

一般的に言われる「受け口」には、上の歯が後方に、下の歯が前方にある「歯に問題がある」場合と、上の顎が小さく、下の顎が大きい「顎に問題がある」場合があります。

生え変わりの時期に自然に治るケースもあります

乳歯の反対咬合で歯だけが問題の場合は、急いで直す必要はありません。乳歯から永久歯への生え変わりの時期に、2~3割は自然に治ります。それでも治らなかった場合は、一旦矯正治療で治します。歯だけが問題の場合は、この生え変わりの時期の治療できれいに治ってしまうケースもあります。

一度治しても成長とともに再発する場合があります

しかし、頭蓋骨に付いている上の顎と、手足の骨と同じ種類の下の顎は、成長するスピードに差があり、上の顎は小学校5年生で大人の90%くらいまで成長するのに対し、下の顎は身長が伸びる思春期に成長するため、一度治しても成長と共に、再び受け口になる場合もあります。
その場合は、身長の伸びが落ち着くのを待って、もう一度Ⅱ期治療を行います。

顎に問題がある場合は外科治療になることも

顎に問題のある場合は、Ⅱ期治療の際に下の顎を下げる顎変形症の外科手術になる場合もあります。大掛かりな矯正治療にはなりますが、保険適用により費用負担は少なくなります。遺伝的な要素が大きい場合はⅡ期治療が必ず必要になります。

乳歯のうちに治療するべきケース

中には、永久歯まで待たないで乳歯の時に治療すべきケースもあります。
片側の上下の奥歯が咬み合っておらず、放っておくと顎がどんどん曲がっていってしまう場合や、咬み合せが悪く歯ぎしりをする場合などは早めに治療しておくべきです。また、奥歯の反対咬合は、成長していく上で機能的に良くない場合が多いため、見つけた時点で治した方が良いでしょう。

上顎前突(出っ歯)の場合

上の前歯が出ている「出っ歯」の場合は、矯正治療が早ければ早いほど良いということはありません。早期治療を行った例と行わなかった例で、永久歯列期の治療後の結果には差異がないというデータも出てきています。ただし、歯の傾きが大きく、転んだ際に外傷の危険がある場合などは治療する価値があると思います。

開咬(前歯が閉じない)の場合

上下の歯の間から舌を出したり、舌で歯を押すの癖があるお子さんに、口を閉じることや正しい飲み込み方を教えるだけで開咬が治る場合もあります。ですが、癖や習慣は人それぞれであり、本人の意識付けだけで治るお子さんもいれば、なかなか治らないお子さんもいます。治らないお子さんの場合は、舌の訓練と併行して矯正治療を行っていきます。

質問タイム

Q.子どもにとって矯正治療はどのくらい痛いものでしょうか?

A.基本的には、矯正治療は痛いと思いますが、痛みには個人差があり、疼く、痛痒いなど、感じ方も人それぞれです。でも、痛みは日に日になくなってきますし、今まで治療の痛みでリタイアしたお子さんはいません。また、子どもは顎の成長に伴い歯は自然に動いているので、方向が合えば中には全然痛がらないお子さんもいます。

Q.子どもの矯正治療の大変さには、どんなことがありますか?

A.歯を動かす期間は月に1度の通院になります。お子さんが小さければ通院も大変でしょうから、あまり遠くの医院にするのは大変かと思います。
矯正治療の仕上げの段階では、矯正装置へのゴムかけが必要になってきます。食事の時は外すので、ゴムを外して食べてまたかけるという作業が、お子さんにはとても面倒に感じると思います。ですが、しっかり使うとびっくりするくらい早く終わりますので、親御さんもご協力やお声掛けをよろしくお願いします。

歯を動かす治療が終わると、動かした期間と同じだけ、リテーナーを付けてその場所に留めておく「保定」が必要になります。保定期間中に矯正歯科に通うのは4ヶ月に1回、後半はリテーナーを付けるのも夜だけになるため、負担はどんどん軽くなりますが、お子さんに任せると付け忘れが出てきますので、最後までご協力をお願いいたします。

Q.かかりつけの歯科医院で矯正治療をするか、矯正歯科で治療をするか迷っています。

A.一般歯科で矯正治療をする医院もありますが、上下の咬み合せをきちんと作ることは、きちんとトレーニングを受けた歯科医師にしかできません。また、治療後に上下の歯がきちんと咬み合っていないと簡単に後戻りを生じます。

マイクロスコープによるむし歯の根幹治療など、高度で精密な歯科治療をするようになってきた現在、一般歯科の先生が矯正治療にまで手を拡げるのはかなり難しいことです。また、アルバイトの矯正医が矯正治療を受け持つ医院もありますが、非常勤の歯科医は本院が忙しくなればお辞めになる可能性もあります。
もちろん、一般歯科でも良い腕の先生がいるかもしれませんが、リスクを減らすためには、矯正治療を専門とする歯科医院を選ぶことをお勧めします。

矯正治療について
【治療内容】
スタンダードエッジワイズ法を用いて歯を動かし、歯並びや口元・咬み合わせを整えていきます。
【治療期間及び回数】
動的治療期間:約2~3年程度、月に1回の来院 
保定期間:約2年程度、4か月に1回の来院
【標準的な費用(自費)】
子どもの矯正:第Ⅰ期治療 約30~50万円、第Ⅱ期治療 約40~70万円
中高生・大人の矯正:約80~120万円
【リスク 副作用】
初めて装置を装着した時やワイヤー調整後は、噛むと痛みを感じたり、違和感を持つ場合があります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。

※ 矯正歯科治療は公的健康保険の対象外の自由(自費)診療となります。

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