2007年11月アーカイブ

スピード矯正

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ネットをちらっと見たら「スピード矯正」なる文字が目に飛び込んできました。スピードブラケット(シャッターがよく閉まらなくなるセルフリゲイトのブラケットですね)は知ってるけど「スピード矯正」とはなんじゃらほい。早速G00gleで検索してみました。

オステオトミー(顎切りだね)とコルチコトミー(皮質骨に切れ目を入れる手術)とアンカーインプラントを使った治療で通常の半分から4分の1の時間でできると書いてありました。

特にコルチコトミーは早く歯を動かせるだけでなく、歯根吸収や後戻りを起こしにくい方法であるが非常に技術がいる処置なのでほんの一握りの歯科医師にしかできない処置である。

と書いてありました。あれまー

前半部分は確かに顎切りとインプラントを併用すれば治療期間の短縮ができる症例はあると思います。私もいわゆる上下顎前突の開咬で通法に従えば2年半以上はかかる症例を1年半で動的治療を終了した人はいます。

後半部分は疑問ですよね。歯槽骨にコルチコトミーを施して歯を早く動かすという試みは、何十年も前から行われています。さらにそれを全ての歯に行い早く歯を動かすという試みも20年以上前から行われています。それが本当に早く動く良い方法であれば一般化していてもおかしくないはずです。そうでないのは、やはり何か原因があるのだと思います。私個人の意見としてはコルチコトミーを行ったことによる治療の短縮効果はさほどないのに、かなり高い確率でコルチコトミーによるデメリットが生じてしまうためだと思います。デメリットとしてはアタッチメントロス・歯肉の退縮(歯茎がさがること)これは程度の差こそあれ必ず生じます。歯髄壊死(歯の神経が死んでしまう)、知覚麻痺、歯根の損傷などが考えられます。

人のことを批判するのに自分がおもうだけでは説得力はありませんので少し作業をしました。行ですね。

PubMedで[orthodontics corticotomy]というキーワードで検索してみました。総数57件少ないですね。一番古いのは1966年のものでした。コルチコトミーと矯正を併用したケースレポート(今回知りたいターゲット)が10。一番古いものは1981年でしょうか。EBMにおけるエビデンスの価値のない動物実験が8。上顎拡大のためのコルチコトミーが11。最近はやりのosteogenesisが6。抄録なしで内容が不明なもの20。ケースコントロールスタディらしきものが1。RCTは0。でした。

ケースコントロールスタディらしきものは、いわゆる上下顎前突65症例に対してグループ1(矯正治療のみ)、グループ2(コルチコトミー、アンカーインプラントを併用した矯正)グループ3(上下顎前歯部の骨切りによる前歯の後方移動と矯正治療)にわけて比較を行っております。残念なことにコルチコトミーとアンカーインプラントの併用ですので、コルチコトミーを行うと治療期間が短縮するかという問いに対する答えは得られません。

今回の検索では歯の周囲にコルチコトミーをしたら早く動くというエビデンスはケースレポート止まりでした。中には確実にアタッチメントロスが生じるという結果のケースレポートもありました。現状でコルチコトミーを行ったら治療期間が短縮できるという信頼できるエビデンスはどうでしょう。ないといった方がいいかもしれません。いわんやおや、歯根吸収が少なく、後戻りが少ないなどというエビデンスは見つけられませんでした。

こういった検索を行う時、考えなければいけないことは、うまくいったケースだけ論文になるということです。うまくいかなかったケースは論文にはなりません。うまくいったケースの陰にあまりうまくいかなかったケースがあるのです。その数はどちらが多いでしょう。うまくいくケースがおおければ、ケースコントロールスタディを行うことも容易でしょうし、最初にいったようにもっと一般化しても良いように思います。

このような現状でコルチコトミーを広告しているのであれば医療者として積極的に信頼のおけるエビデンスを作る責任があると思います。なんせ、彼らは高度な技術を習得しているそうですから、方法もきちんと確立しているのでしょう。


歴史があるのに一般化しない検査や手技は何か問題があると思った方がよいと思います。


それにしても医院のホームページは格調高く高級感あふれるつくりになっているのにひとたび矯正の治療例のホームページにはいると写真の汚いこと、挙げ句の果てに上顎前突の治療後の犬歯関係と臼歯関係がII 級で咬頭嵌合ができていない症例を堂々とお出しになっている。そんな治療は矯正治療のゴールとしては認められません。やむを得ずそうなったとしても、ホームページに誇らしげに掲載するなんて・・・・・

なさけな。

医院のホームページは業者が作りますから高級感は出ますが、症例はホームページ業者はつくってくれませんから。(波田陽区?ってだれ)

たぬき

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一週間前、あさ7時頃16号沿いを歩いていたら、狸がバス停にいました。矢部の2丁目のやまやさんのあたり、狸がちょこんとバス停にいました。写真を撮ろうとすると植え込みの茂みの中に入ってしまいました。その時、背後に気配を感じたので振り向くとやまやさんと隣の建物のあいだの空間にもう1匹狸が心配そうに植え込みを見ていました。多分つがいだったのでしょう。やはり、携帯のカメラをむけると奥へ逃げていきました。

新潟大学歯学部の駐車場でも狸にはよく出くわしました。狸は割と人のいる環境でも排水溝などに巣を作り生活しているそうです。相模原はわりと雑木林等多いのでいてもおかしくないですが16号にいたのでびっくりしてしまいました。とはいっても天然の狸は滅多に出会いませんよね、人の「たぬき」ならしょっちゅうあっていますが色んなところで。新潟の「たぬきおやじ」は元気でしょうか?

新潟大学歯学部神奈川県同窓会

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昨日は新潟大学歯学部神奈川県同窓会のため横浜まで出かけてきました。二期生の田中道子先生がご講演してくださいました。インプラントのすばらしいケースを見せていただきました。ケースの美しさもさることながら、ご本人がお若く、美しいのにびっくりしました。懇親会で両川先生のお隣にお座りでしたが両川先生には大変失礼なのですがとても同世代にはみえませんでした。

総会では長年にわたり会長の大任を担っていただいていました5期生の早川先生が退任され、次期会長として同じく5期生の小宮先生が選出されました。海野先生に久しぶりにお会いでき楽しい会話を堪能しました。須田先生、金田先生、後藤先生、石川先生、岩本先生、白井先生とお話ができ楽しかったです。もう少し時間があればもっと良かったのかなと思いました。

立冬

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今日は立冬です。冬が始まりますね。もう一つ今日は「いい歯」の日です。今日は津久井中央小学校に行ってきました。そこで相模原市健康企画課、相模原市教育委員会学校保健課、相模原市歯科医師会、津久井中央小学校による学校歯科巡回指導が行われました。

今日は2年生と5年生に対して1時限の時間をとっていただき歯科衛生士による歯科指導が行われました。その様子を関係各位と一緒に授業参観させていただきました。

歯科衛生士の柴田さんの指導を参観させていただきました。子供達も興味をもって授業に参加していて、初めてではないにせよその授業は見事でした。時間通りに終わりましたし。

ネズミを用いた実験で固形食で育てたネズミのほうが粉末食で育てたネズミより学習する能力が高いという実験結果から皆さんよく噛んでご飯を食べましょうねという結論に持って行っていました。「野菜ジュースより野菜と果物を噛んで食べましょう」と言ってました。説得力がありますね。こどもたちもネズミの実験の結果を想像したりとても楽しそうに授業に参加していました。くり返しますが歯科衛生士柴田さんはえらいです。準備もすばらしかったです。

ちょっと話は変わりますが、ネズミの実験は固形食を食べている方が学習効果が高いと言う結果でした。このように噛むことと学習(ブザーが聞こえた後にボタンをおさないと感電して痛いよ)することと直接関係がなさそうなことでも関係あることが結構あります。人間でもありますよ。字を早く覚える子は外遊びをたくさんする子供だそうです。本を読むから読み聞かせをするから字を早く覚えるのではないそうです。やはり全体で一人の人間であるということでしょうか。机に向かってばかりではだめですね。

5年生には歯肉炎は歯ブラシで治る事、予防できることを写真をみせて示していました。それに伴い歯の周囲の解剖を子供達に教えていました。歯があって骨があってあいだに歯根膜があって歯髄があって骨のなかから根っこの先を通って神経と血管が入っていく。

歯肉炎は歯茎が腫れる状態であることを話していました。そこである児童から歯周病という言葉が出ました。柴田さんはここぞとばかりに「歯周病は今、勉強した歯肉炎と歯周炎をあわせた言い方です。」「歯周炎というのは歯肉炎の次の段階で炎症がすすみ歯を支える骨が溶けてしまった状態です。そうならないようにしっかり歯磨きしましょう」と解説していました。

2年生の皆さん担任の堀尾先生ありがとうございました。5年2組の皆さん担任の佐藤先生ありがとうございました。

その後懇談会行い、給食を食べて終了という予定でしたが、私は1時からの3歳半健診のため早めに戻りましたので給食がいただけませんでした。

食べたかったです。

新潟県立六日町高校

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先日、アルプス技研会長の松井利夫さんとお会いする機会がありました。松井さんは自らが創業したアルプス技研を36年間で東証一部上場の会社にまで育て上げた方で、通常であれば雲の上の存在で知り合う機会などないのですが縁がありましてお会いする事ができました。どんな縁かといいますと、松井さんは私の高校の先輩でした。さらには私の同級生の歯科医師が松井さんと知り合いで紹介していただきました。すばらしい方でした。

同級生の先生より松井さんのことは以前より伺っておりました。六日町高校の先輩であること、アルプス技研の創業者であること、アルプス技研は1部上場の会社であること、など断片的に教えていただき「凄いナー」くらいに思っておりましたがホームページを拝見させていただき驚きました。私が矯正歯科医師として働き始めた90年代に株式公開をされていたとは。わたしが働く同年代に偉業を成し遂げられていた事に感嘆いたしました。またバブル崩壊にもかかわらず会社の業績を伸ばされたのは凄いと思いました。また、人材育成は中小企業にとって経営の要であるという言葉が興味深かったです。私も新潟大学で10年以上歯科矯正臨床の教育を学生と若い歯科医師に対して行ってきました。技術を伝える困難さ、誠実であることの教育、さらには仕事の魅力を伝えることなど教育の難しさを痛感しました。しかしながら基本的に私は人に教えることが好きだったのだと思います。また、若い人たちから教えられることも多く、さらには一緒にいるだけでたくさんのエネルギーをもらいました。

松井さんから色んなお話を伺うことができ有意義でした。お話ししているだけでエネルギーをいただきました。特に釣りのお話は興味深かったです。またお会いできるとうれしいです。もっとエネルギーをいただこうと著書をアマゾンで注文しました。

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