2009年4月アーカイブ

与五沢矯正研究会

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昨日まで20日,21日とシェラトン都ホテル東京で「第31回与五沢矯正研究会」が開催されました.実質的に役員(副会長)として初めて参加させていただいた研究会は大変でしたが充実した時間を過ごすことができました.会員の先生方の能力の高さを改めて認識した2日間でした.また,ディレクターの与五沢文夫先生の考えの深さに触れた最高の2日間でもありました.私のようないい加減な人間を副会長に抜擢して下さった斉藤卓麻先生,ありがとうございました.でも後悔したでしょ?来年は有松会長,池副会長のもと,北九州,門司港ホテルで開催されます.池副会長の一言が印象的でした.「いつもは研究会が終わると,明日からがんばるぞというエネルギーが湧いてくるんだが,今回はないんだよね.なんか肩のあたりがずんと重くてね.」

池君それは副会長のプレッシャーというものですよ......


昨年の沖縄の前ですかね.斉藤先生から電話をもらって副会長を頼まれたのは.それから企画を考えました.できることなら沢山の先生方に来ていただきたいし,来てくれた先生に面白かったと言って欲しいし,なによりも,与五沢先生に了解をいただかないといけないし.悩みました.29回の富山では下突咬合,私個人も発表しました.下顎の回転がテーマでした.30回記念大会は沖縄,与五沢先生が経験した長期経過症例から生体を理解するためのいくつかのキーワード・・・「適応」「抑え込み」「揺らぎ」「進化の方向性」・・・の重要性が改めて示されました。.この流れの中から次のテーマを紡ぎ出すのは大変だと思いました.で,決めたテーマは

High angle caseでみられる下顎の時計方向の回転は生理的な方向の変化なのか?」そのまんまです.ひねりも何もありません.それも,大風呂敷です.そんな答え誰ももっていません.でも決めてしまいました.でついでに,研究会のテーマもハイアングル症例の下顎の回転に決めて,症例呈示,症例発表も下顎の回転に言及できるのものに限定しました.

もう一つ,31回大会では従来と違うことがありました.それは,オープン参加です.会員でない人も参加できるということです.そこで考えました.私たちが興味あることはかなりマニアックです.既存の科学の枠組みでは理解できない生体の反応について,独自の考え方で理解する部分があります,たとえて言えば帰納法で理解できないのであれば演繹法で理解しようという考え方のようなものでしょうか.ま!既存の科学の枠組みにどっぷり浸かっている人が「ひょい」と来て理解できるものではあります.だって,人間の感性に訴えかけるものですから,ただ信用してもらえるかどうかは,話す人によります.はい,この点,与五沢先生にお話しいただけると一番よいと思いました.31回では与五沢先生に教育講演をしていただく事はかないませんでした.しかしながら,2日目のシンポジュウムで金井先生のご発表に答える形で,セファロの読み方について基本的な考え方を長時間に渡りお話しいただけました.個人的には「してやったり」!すごくうれしかったです.オープン参加の方もこのやりとりで我々の考え方の一部を理解していたけたかと思います.与五沢先生の面前で成長予測を実際に行っていただいた金井先生!シンポジストをお引き受けいただきありがとうございました.また金井先生の問いにお答え下さった与五沢先生ありがとうございました.また,生体の反応の幾何学的考察の具体例となる貴重な症例報告をしてくれた澤田美穂先生ありがとうございました.初日だけで帰ってしまった幾人かの先生達はこの話が聞けず残念でした.惜しいことをしましたね.

そのほか,シンポジストとして後登壇いただきました先生方,誠にありがとうございました.新潟大学の竹山雅規,中村順一先生にはハイアングルケースについての文献的考察をしていただきました.話がハイアングルに偏っていたので,下顎の回転に関連して咬合高径等についても報告していただきたかったです.池元太郎先生には成人期未治療者の下顎の回転についてお話ししていただきました.星隆夫先生には発育期未治療者の下顎の回転についてお話しいただきました.和島武毅先生には抜歯部位の違いによる下顎の回転について考察いただきました.和島先生失礼しました.大変ありがとうございました.有松稔晃先生には咬合高径に関連した大胆な仮説をご発表いただきました.森田修一先生には我々の方法でえられた結果が従来の数字を用いた方法でも同様の結果が得られることを示していただきました.

その他,症例報告をして下さった先生方ありがとうございました.また,積極的に討論にご参加いただきました先生方ありがとうございました.

来年は門司港ホテルでお会いできることを期待しています.

知らないと怖い子供の歯科治療

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朝日新聞の広告をみたら刺激的な見出しが目に飛び込んできた

「知らないと怖い子供の歯科治療ー矯正,むし歯,さし歯ー街の歯医者には危険がいっぱい」

早速,書店に出向き,プレジデントファミリーを購入,しかし,元来私はこういうマニュアル本が嫌いである.この類の本は「そこそこ」ということを許さない.向上心をもち続けないと許されない.結局そのためにお金を使うことを勧めたりする.この教材がいいとかね.だから,わたしはこのような類の本は買わないと誓った.(だれにだよ)でも買ってしまった.広告に釣られてしまった.「いかん,いかん」と言いながら,ページをめくる.

おお,プライム矯正歯科の割田博之先生がインタビューされて記事が校正されている.え!知ってる人の様だって?ええ知っています.先日も講習会で会ってお話しさせていただきました.ですから,この記事にいちゃもんつけるのはやりにくいですが,私が違うなと思う点が多々あるので,つっこみを入れさせていただきます.


曰く「顎が小さくて大人の歯が入りきらないと予測される場合は,顎を広げてスペースを確保する治療も可能です.」

確かに可能ではある.可能ではあるが,その治療が最適であるかは別問題である.本来が叢生の患者さんを拡大して直す場合,側方にも歯列は広がるが前方へも広がる.当然口元は突出し,獣顔になる.唇が閉じにくくなる.この変化が成長発育による変化と同時に生じていくので本人も親御さんも気付きようがないが確実に口元は美しくない方に変化していく.その患者さんの鼻の高さ,オトガイの成長がどれくらいになるか,小学校低学年で予測しきる歯医者は矯正専門医でもいないとおもう.それなのに,その時期に拡大治療を始めるのはどうしてか?そのような,歯医者は「将来的に口元の突出が気になった時点で抜歯して治療を開始すればいい」と言い訳する.ちょっと待て,それだったら,永久歯が萌出するのをまって抜歯して直した方が効率がいいだろう?拡大した時期の治療は全くの無駄なんだから.逆にいえば,拡大してもきれいな口元になる人は永久歯が生えてきたから拡大しても十分である.

早く拡大しないと手遅れになるという矯正医はかからないほうがいい.


曰く「最近はインビザライン,やインコグニートなど目立たない矯正装置も出てきているそう言った最新の情報を常に患者に呈示しているかが大事なポイントだ.


新しい治療方法は信頼性がない.インビザラインに至ってはそれだけではすべての歯の移動ができない.インコグニートはドイツの技工所の質が落ちたら話にならない.新しいものに飛びつく人は今の自分に自信がないのかもしれない.新しいものを学ぶ姿勢は大切だが,その信頼性について確認がとれるまで広告はひかえるのが医療人としての姿勢だと思うがどうであろうか.


曰く「安いところにありがちなのが,治療時にワイヤーを外さずに外から締め直すだけというもの.そうすれば一人にかける時間は短時間ですむので自然と値段を下げることが可能になる.」

毎回ワイヤーを調節するとジグリングフォースが生じ,歯根が吸収しやすくなるという報告もある.また,仕上げの針金に入れた曲げが実際に歯を動かしきるまでには2カ月かかる.毎月調節すると過剰の曲げを入れることになる.この先生は自分のテクニックを基準にしているようだが自分の知っていることがすべてではないと思う.クリーニング目的で毎回ワイヤーを外すところもあるが,プロフェッショナルでもワイヤーを外さなければクリーニングできないのであれば,患者さんが自己管理できるわけないではないか.ワイヤーをつけたままでも十分クリーニングは可能である.色んな道具もあるし.毎回ワイヤーを外す事を協調する先生は自分に自信がないのかもなんて思ってみたりもする.


以上3点つっこみ所がありました.

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