2008年2月アーカイブ

一人平均齲歯数

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昨日の夜は乳幼児歯科検診事業協力医・担当者会議であった。相模原市の3.5歳児の一人平均齲歯数は0.9本で1本を切ったそうです。平成12年は1.4本だったそうです。1.4本も、さして多い数字ではありませんがさらに減って0.9本、行政、歯科医師会、歯科衛生士会とお母さんお父さんの努力に敬服いたします。

さて、会議の最後で担当理事が

「今、乳幼児歯科検診に求められるもの

        〜子育て支援と食育推進の流れの中で」

昭和大学歯学部 小児成育歯科学教室 井上美津子という講演をしてくださいました。

最初は教授講演するのかと期待していたのですが、「スライドを借りてきましたので」

・・・・

肩すかしですね。


さて私はその講演のながれがどうも理解できませんでした。

講演の冒頭は最近の子育て事情が紹介されていました。

少子化、核家族化、都市化、生活様式の変化、情報の発達

昨今の核家族化で今の親たちは自分の子供が生涯で初めて接する赤ちゃんだったりする。

住環境の変化で子供達は外遊びの減少、友達あそびの減少、テレビビデオの増加がある。

氾濫する育児情報のなかで育児不安になる母親、具体的に相談できる人が身近にいない。

など、割と現在の育児環境を以前と比べて良くないものとして表現していました。

そのつぎに、小児期のう蝕が減少した。事を踏まえて、


これからの健診は

従来の一般的な知識の伝達、歯科のみに視点をあわせた保健指導から


個別に状況に合わせた情報の伝達、親子の生活状況を踏まえた相談・指導


に移るべきだと述べている。


ちょっと待て。

今の育児環境は本当にわるいのか?

う蝕が減ったことは今の育児環境とは関係ないのか?


何か本質とは全く違うところで論を展開している気がする。


まずこのスライド作成者はう蝕の減少を良いことととらえていないのではないかとすら思えてしまう。小児のう蝕を減らすべく健診事業を継続して行っているわけであるからう蝕の減少を言祝ぎこそすれ、悲観する必要は全くないと思うのであるがいかがであろうか。


「う蝕の減少は乳幼児期から学童期にまで及んできている。」この助詞「まで」はどのようなニュアンスで用いられているのであろうか。


またスライド作成者は現在の育児環境がだめだと決めつけているが、

その環境の中でう蝕歯が減少したのではないのか?

少子化して一人の子供にかける労力が大きくなったからう蝕が減ったとは考えられないか?

核家族化したことで甘やかす祖父母から遠ざけられ、だらだら食べ等がなくなったのではないのか?

歯のケアに対する様々な情報が親に届いているからこそ、親がより良いケアを行い、結果としてう蝕が減ったとは考えられないか?


いまの育児環境が理想的ではないがすべてを否定する必要もないと思う。


さらにはう蝕が減少したのであればそれを言祝ぎ、減少したまま維持するための方策を考えればよいと思う。個別の状況のあわせた対応は本来歯科医院で行うもので、健診では

「個別の状況に配慮できたらいいな」

くらいではないのか?これ以上う蝕を減らさなくていいのであれば、必要最小限のエネルギー(お金をかけずに)で今のレベルを維持するためのシステムを作ることを考えるべきではないか?なぜ、過大な負担を背負う事を望むのであろうか。

健診のシステムを変えるのであれば、今まで行ってきたことの何が良くて何がいけなかったのか?

今の育児環境の何が良くて何が悪いのか?(もちろんう蝕にとってである。)

今までの健診システムの何を残して何を変えるべきか?

をきちんと考えることではないか。

過去の反省は必要である。

相模原市学校保健研究発表会

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昨日は木曜日、星歯科矯正は定休日でした。で、上記の発表会に参加してきました。

場所は相模原市産業会館、市役所の近くですね。

参加者は学校医、学校歯科医、学校薬剤師、PTA役員、校長、保険主任、養護教諭、給食主任、栄養士、の皆さんです。

児童生徒が健全に発達するための方策をみんなで考える研究会だそうです。

歯科医師会で学校歯科保健の委員を仰せつかっている関係で参加しました。

最初は北里大学医学部眼科学教室 専任講師 神谷和孝先生が「コンタクトレンズ眼障害」についてお話をしてくれました。私は目だけはいいので眼鏡にもコンタクトレンズにもお世話にならずに済んでいます。そのためコンタクトに関しては全く知識がなかったのでとってもためになる講演でした。

コンタクトレンズの使用法を誤ると角膜炎になってしまい。視力が落ちるんだそうですね。細菌性の角膜炎は視力は元通りに近く回復するそうですが、アカントアメーバ角膜炎などはほとんど視力回復が見込めないそうです。おそろしいですね。コンタクトの取り扱いはきちんとしないといけないようです。異常を感じたら外すこと、特に1日1回は必ずケースを乾燥させることこれが大切だそうです。

また、「一部の悪質なコンタクト量販店では、自社製品や利益率の高いコンタクトレンズを無理矢理すすめるところもあります。しっかりとした眼科専門医にきちんと処方してもらうことをお勧めします。」とおっしゃっていました。どの業界も一緒なのですね。

もうひとつ大変感動した講演がありました。それは南部学校給食センターの川島智美さんが行った講演です。タイトルは

「自ら健康について考え、望ましい食生活を実践できる児童の育成を目指してー南部学校給食センターでの取り組みー」

というものでした。

川島さんが実際に児童に行う授業をその場で再現していただきとてもよくわかりました。また生徒の反応も良いことが伝わってきて、情熱がある人が行う教育は効果があるんだということを再認識しました。

川島さんの授業はまず模造紙で作った大きな手を黒板に貼ります。親指はご飯の指です。人差し指は野菜くだものの指です。中指は牛乳ジャコの指です。薬指は魚肉卵の指です。小指はバターの指です。

次ぎに、担任の先生にその日の朝ご飯の献立を尋ねます。そして、ほうれん草のお浸しを食べたから野菜くだものの人差し指をおります。ご飯をたべたから親指をおります。牛乳を飲んだから中指をおります。鮭の切り身を食べたから薬指をおります。 と順に黒板の模造紙の手の指を折っていきます 。最後に卵焼きに油を使ったから小指をおります。全部の指が折れてグーの手ができました。先生は大変バランスがよい朝食をとってきましたね。


皆さんも全部の指が折れてグーの手になるようにバランスの良い食事をとるように心掛けましょう。


という授業だそうです。先生が見本にならないときは川島さんが理想的な朝ご飯をとってきたことにして授業を進めるそうです。ある学校で担任の先生がほんとうに朝、コーヒーだけの朝食だったそうです。だめだめですね。その先生は一学期中毎朝、児童に朝ご飯の献立を尋ねられたそうです。

とても良い発表でした。さらに川島さんは

「エド・はるみのグーだとご飯が不足しますよ!」

と抜け目なく笑いもとっていました。

恐るべし川島智美。

口腔癌検診

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本日は営業日の日曜日ですが、午前中のみの診療で患者さんにはご迷惑をおかけします。午後からは歯科医師会の口腔癌検診に参加して、勉強を兼ねたお手伝いをしてきたいと思います。さて、健診の予習を昨年の7月29日行ったのですが、半年経つと覚えていませんね。そこで復習をかねてブログの更新と相成りました。前癌病変や初期癌はヨードに不染性を示すそうです。理由は通常の口腔粘膜はヨードグリコーゲン呈色反応で染まりますが、癌細胞は顆粒細胞層のグリコーゲン含有量が少ないので、染まりにくいんだそうです。3%のヨード液の一回染色がお勧めですが、潰瘍にしみるのと、手元にないときなどは市販の1.2%ルゴール液の複数回染色でも良いようです。不染域があった場合は専門医へ紹介するべきだそうです。その他の生体染色の方法としては、トルイジンブルーによる染色があります。これは病変部(高度異形上皮と癌組織)が青紫色に染まります。

お口の中のできものや傷がずーっと治らない人は口腔外科を受診しましょう。

さてこれから口腔癌検診ですが、相模原市の人口は80万以上です。年1回2時間で診られる患者さんの数は100人以下です。これを健診といっていいのでしょうか?確かに健診ですが、市民の健康をまもるための健診であるという位置づけであるならば、少なくとも市民の1割以上が健診を受けられる体制づくりが必要な気がします。今回のようにウエルネスで口腔癌の健診だけを行う形式で万人単位の健診は無理です。そうすると、市民の皆さんに虫歯、歯周病の定期健診の習慣を持っていただき、少なくとも半年に一回は歯医者さんにお口のクリーニングに通っていただくこと、この際に歯科医師がきちんと粘膜も診て必要なら専門医を紹介すること。この体制ができないと、公衆衛生的な意味での健診にはなり得ない。と思います。

そのために必要な事は市民に対する教育(教育ということば悪ければ情報提供)と歯科医師に対する教育(口腔癌のスクリーニング)です。

半年に一回くらい歯医者さんにいきましょうよ。それだけで60歳代までに抜ける歯が3本以上へるんですから!(あくまでも平均値ですけど)

ひとりでは生きられないのも芸のうち

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ほんとうに月日の経つのが早い。もう2月の7日である。前回のブログは1月26日、遠い昔のようであるが2週間は経っていないのか。そういえば翌日の27日は相模原市歯科医師会野球部最強ジークスのボーリング大会で優勝(2年連続2回目に優勝)をした。Wiiでのイメージトレーニングが奏功したようである。歯科医師会の発表を終え、余裕ができ多と勘違いしたので、モノグラフの原稿に手をつけたがその後、F先生より不幸の電話がは入り仕事が一つ増えた。A松先生、原稿落ちたらごめんなさい。同窓会の発送もあるし、広報の仕事もあるし結局余裕があると思ったのが勘違いであった事だけは確信できた。そんな中、日本嬌声鹿学会の選挙だそうだ。患者さんのための専門医認定制度をより良くするために活動している身としては参加せざるおえない。

そんな中、タイトルの本を手に入れ、忙しい忙しいといいながら、ぐぐふふふと読んでいる。忙しくなくても読むのであるが大切なのは忙しい忙しいと言いながら読むことである。



社会人になるということを単純に「金を稼ぐ」ということだと思っている人間は長期にわたって労働を続けることはできない。そんな基本的な事を私たちは久しく忘れてきたのである。


いいこというなーー


「ビートルズとストーンズとどっちが好き?」と問われたときは「デイヴ・クラーク・ファイヴ」と答えるのがナイアガラーの骨法であると大瀧詠一師匠はおっしゃていたのでその風儀に従うのである。


ごもっとも


言語の現実変成能力がどれほど強大なものか、それをほとんどの日本人は理解していない。とりわけ言語についての理解の遅れた人々が現代日本の「国語」を宰領している。私がメディアからの寄稿依頼を断り、それに倍する量の文字をブログに書きつけているのは、ここには「使用語彙の制限」がないからである。


わたしも内田先生のブログを読みながらしょっちゅう辞書をひく。


私は忙しい忙しいと呪文のように唱えながら、これらのようなフレーズをよみ溜飲を下げているのである。


今必要なのは、「自分の下に流れ込んだリソース(財貨であれ権力であれ情報であれ文化資本であれ)を次のプロセスに流す」という「パッサー」の機能がすべての人間の本務であるという人類学的「常識」をもう一度確認することである


この文章を読んでハタと気がついた。私がなぜ日本嬌声鹿学会の専門医制度に対して強い嫌悪感を抱くのか?

その制度が次の世代にリソースを流す事をとめているからである。だって専門医の申請資格をとるのに12年間かかるんだよ。技術の習得に時間はかかりますが12年は長すぎ、5年で十分です。ハイ。だいたい12年間どうやって暮らすの?その12年間に治療される患者さんは気持ち的にどーなんでしょう。もしくは12年間立派な先生の監督下で働かなくてはいけないのでしょうか?医科の専門医制度だってこんなに長い年限のものはない。彼らはリソースをパスするつもりはないらしい。

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