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歯科矯正治療~我が家の場合~ 

我が家の矯正治療体験

歯科矯正の医院で仕事をするようになるとは思ってもみなかったのですが、我が家でも今から12年前に長男の矯正治療をはじめました。次男も3年2ヵ月前からはじめました。長男は今年の2月にやっと完了となり、もう通院しなくてもよくなりました。次男は5月の末に矯正装置をはずす予定です。

みなさまは、これから矯正をはじめる方や、治療中の方がほとんどだと思いますが、我が家の矯正治療体験も少しは参考になるかと思いまして、毎月少しずつお話しさせていただきます。

矯正治療をすすめられる

さて、長男が矯正治療をはじめたきっかけですが、父親ゆずりの大きな前歯と、うつ伏せ寝(今は乳幼児の突然死の原因になるからとやめるように指導されていますが、当時は赤ん坊が落ち着いて眠るので、保健婦さんにすすめられて、させていました)と、ミルクによる授乳のせいか、あごが小さくて、乳歯のころから矯正治療をしたほうがいいかもしれないと、定期的に検診に行っていた歯科医院ですすめられていました。

イヤミの前歯!

そこに、治療をはじめる決定的な理由が発生しました。なんと! 生え変わった上顎の前歯が1本、赤塚不二夫の『おそ松くん』という漫画に出てくる“イヤミ”のように前に飛び出して生えてきたのです。口を閉じても歯が見えてしまいました。

それは1歳のときに、よちよち歩きでお散歩していて、転んで大きな石に、生えてきたばかりの2本しかない前歯をぶつけてしまい、1本がだめになってしまうという事故があったのですが、そのこととも関係があるようでした。長男にとっては、生まれてはじめての大きなケガで、親として本当に情けないことをしてしまいました。

歯科医院探し

矯正歯科医院さがしスタート

矯正治療は、我が家にとってはじめての体験でした。そのうえ、東京の北区から町田市に転居する予定でしたが、町田市についてなにも知らなかったので、とりあえずかかりつけの近所の歯科医院に相談してみました。町田市内ではないけれど、遠くないところに矯正治療もしている歯科医院を知っているということで、紹介状をいただきました。

初診相談

4月に転居した学校にも慣れて、生活全体が落ち着いてきた5月頃、紹介していただいた歯科医院に予約をして行ってみました。最寄駅まで自宅から徒歩10分、途中で乗り継いで電車で15分、降りた駅から5分と、30分かけて到着しました。当時はペーパードライバーだったので、車での通院は考えられず、かなり遠く感じられました。

先生はとても丁寧に説明してくださり、印象もよかったのですが、2~3年以上かかることを聞いて、4歳の次男をいっしょにつれて通いきれるか不安でしたので、検査の予約はせずによく考えてから電話をする約束をして帰りました。当時は小学校も土曜日が休みではなく、ほかのお稽古事の予定もあるので、どうしようか悩みましたが、やはりもっと近いところで探そうと断りの連絡をしました。

近くの矯正歯科医院に決める

町田市内にも矯正治療の看板を出している歯科医院はたくさんあるのですが、転居してから一般の歯科医院にもかかったことがなく、どこの矯正歯科医院がいいのか、まったくわからず困ってしまいました。たまたま、親戚に歯科医師がいたので、町田市にどこか知っている矯正歯科医院があるか相談して、自宅から車で10分以内、自転車なら20分のところにある矯正専門の医院を紹介してもらいました。

来院し、お話をきいたところ、治療期間と治療費の一般的な金額は、最初の病院と同じくらいでしたし、検査をしてつくるという現在の歯と治療後の歯の石膏の模型を見せていただいて、信頼のおけるような感じがしたので、この医院で治療をすることに決めました。
長男は治療をはじめてから装置がはずれるまで7年くらい通うことになり、また花粉症で耳鼻咽喉科にも定期的に通院したり、中学生になってからは整形外科に頻繁に通院するようなことになりましたので、我が家の場合、近くの医院で矯正治療をすることにしたのは正解でした。

矯正治療にかかる費用

治療方法と治療費

当院でおこなっているのと同じような検査を受けたあと、長男の歯並びの模型を見ながら、治療方法についての説明を受けました。

長男は上あごが前に出ているので、まずヘッドギアという装置を使って前歯をひっこめて、その永久歯が生えそろってから、ブラケットという装置を全体の歯につけて歯並びをなおす方法をすすめられました。

費用は個別には覚えていないのですが、その年の確定申告の医療控除で、約13万円を申告しているので、相談料、検査料、ヘッドギアの料金の合計がそのくらいだったのでしょう。後半の治療は75万円でした。

治療費明細はすみずみまで確認を

治療費の明細が記入してある用紙の一番下に「尚、矯正装置をはずしたあとに、このほかに上下の保定装置と最終検査料が別途必要となります」と書いてあったのですが、そのときは、まったく気がつきませんでした。

6年後に、やっとブラケットをはずしたときに、数万円の保定装置代を請求されて、「えっ?すべて込みの料金ではなかったの!?」と帰ってから、6年前にもらった用紙を探し出して、改めて見てみたら、この1行がしっかり書いてありました。

書類保管のすすめ

矯正治療は2~3年ということではじめますが、定期的に通えなかったり、装置をちゃんと使わなかったりした場合は、予想以上に長い期間がかかることもあります。何年もたってから、「?」と思うこともありますので、渡された書類は大切に保管しておくことをおすすめします。また、領収書は医療控除を受けるための確定申告で税務署に提出してしまいますが、コピーしておくか、メモにして残しておくと、兄弟が別の診療所で教師治療を受けるようなときに参考になります。当院の 矯正治療の料金 についてもご参照ください。

抜歯について

抜歯??

治療の方針も決まり、いよいよ治療の一回目がはじまりました。子どもが、治療室に入っていってしばらくしてから、わたしも中に呼ばれました。

「ヘッドギアの装置をつける前に、かかりつけの歯科医師のもとで抜歯してきてください」
と医師に言われました。

「抜歯??」

「そうですよ。お子さんは、だいたい1本につき平均より1mm弱くらい歯が大きいんですよ。それにあごが小さいし。このままでは歯並びをなおしても、あごにおさまりきれないので抜きましょう。通常は4本抜きますが、お子さんは癒着歯がありますので、3本抜いてきてください」

納得しがたかったものの、ヘッドギアのための初回治療費をお支払いして帰りました。わたしには、矯正治療についての知識はまったくありませんでしたので、治療のために抜歯をするということを、そのときはじめて知りました。矯正治療というものを簡単に考えていたのですが、そうではないのだという気がしてきました。

もっと調べてから治療をはじめればよかった?

その日の夜、さっそく夫に3本の抜歯のことを話しました。夫もまったく知らなかったので、「矯正治療するのをもう少し待って、ほかの病院でもきいてみたら?」と言いましたが、もう初回のお金を払ってしまいましたので、もう少し矯正治療について調べてからはじめればよかったと後悔しました。いろいろ考え迷いましたが、その診療所を紹介してくれた親戚の歯科医師を信頼していましたので、ひっかかるところはあるものの、指示されたように抜歯をすることにしました。

今はインターネットで手軽になんでも調べることができますが、ほんの12年前は我が家にもパソコンはありましたが、まだインターネットは接続していなかったし、たとえあったとしても今ほどの情報はなかったと思います。

3本の抜歯

子ども本人は、たいして気にもとめていませんでしたが、母親としては、虫歯にもなっていない健康で真っ白な抜かれた歯を見て、悲しくなりました。治療もとうに終わり、もう20歳になる息子の歯並びに今では満足しています。抜歯についての後悔もありませんが、当院で働いていて、抜歯について抵抗のあるご両親のお気持ちはよくわかります。自分もそうだったなと懐かしく思い出してしまいます。

*癒着歯とは・・・本来2本生えてくるはずの歯が、くっついて1本になって生えたもの。詳しくは、当院の抜歯についてをご参照ください。

ヘッドギアについて

ヘッドギア治療開始

さて、いよいよヘッドギアという装置を渡されましたが、かなり目立つものなので、はたして息子がこれをつけていられるのか、不安になりました。頭につけた感じが、テレビで何回もみたオウム真理教信者がつけていた名前も同じヘッドギアと似ているのです。当時、上九一色村のサティアンの操作から、まだ半年もたっていませんでした。医師に使い方を説明されたあと、縦軸に24時間、横軸に31日分の目盛がついたグラフを渡されました。

「食事をするときと、お風呂に入るとき、運動するとき以外はなるべくつけていましょう。つけていた時間を赤い色で塗って、次回来るときに、このグラフをもってきましょう」

前途多難?

その日は装置をつけて電車に乗って帰りました。すると、息子が

「僕は、これを家の外でするのはいやだ!みんなが僕を見ていた!」

というのです。たしかに、息子のヘッドギアに気づいたほとんどの人が見ていました。これを学校でさせるのは、大変なことです。連絡帳に、歯の矯正治療をしていること、そのためにヘッドギアという装置を使わなくてはいけないことを説明し、学校で使っていてもからかったりしないように先生からクラス全員に言っていただきたいということを書いて、担任の先生に渡すよう、息子にもたせました。

最初の1ヵ月

毎日、息子が学校から帰ってくると、「(ヘッドギアを)ちゃんとつけていた?」とたずねるのが、決まり文句になりました。息子は「つけていた」とこたえます。

学校から帰って遊びにいくときは、ボール遊びなどもして危ないのでつけなくてもいいことにしました。週2回、はやめに夕食をすませて剣道を習いにいきます。土曜日の午後は、少し遠くまで電車に乗って音楽のお稽古にいくので、そのときもつけなくていいことしました。日曜日はボーイスカウトの活動があるので、日中はほとんどつけられません。

学校の授業中につけないと、睡眠中くらいしかつけられないので、少しでも長くつけるには授業中の使用は欠かせません。1日15時間くらい赤く塗ったグラフ用紙をもって1ヵ月後に診療所にいくと、「この調子なら早く治療がすむよ」といわれて安心しました。

装着時間短縮の過程…

数ヵ月がたち、学校で個人面談がありました。担任の先生に、クラスのみんなに説明してくださったお礼をいい、

「その後、大丈夫でしょうか?」と質問すると、

「あれ、終わったんじゃなかったんですか?最近まったくつけていないですよ」

「……」

家に帰ってから、問い詰めると、

「だって休み時間は遊んでて危ないからはずしてると、授業がはじまっちゃうから、つけてる暇ないんだもん…・・・」

「そんなこと言ってたら、いつまでたっても終わらないよ!明日からちゃんとつけなさいよ」

そんな会話が毎日続きましたが、以後、グラフの赤い線は夜しか塗られることはなくなり、そのうち、塗るのも省略され、もっていくこともなくなりました。通院だけは毎月続けるうち、3年間が過ぎ、眠る前にヘッドギアをつけるのが日常化していたころ、

「もう大人の歯に生え変わったから、ヘッドギアをやめてブラケットにしましょう」と医師にいわれました。

*当院でも、ヘッドギアを使用しますが、基本は夜間と家にいるときの使用です。学校や外出先での使用はおこなっていません。
ヘッドギアなど矯正装置に関するトラブルの対処法は下記をご覧ください。

ブラケット治療について

治療後数日間が大変

ヘッドギア治療が終わってホッとしたのも束の間、また私を悩ますことが待ちかまえていました。金具のたくさんついた長男の歯をみて、「慣れるまでは食べるのが難しいかな?」と覚悟はしていました。ただ、治療にいくたびに痛みがあるということは、まったく知りませんでした。はじめて装置がついたときのことは覚えていないのですが、その後、毎回治療に行ったあとの数日間は、一生忘れないほど大変でした。

「お腹が空いているのに食べられない!」

長男はかなり食いしん坊でした。最近はお年頃で、スタイルを気にしたり、欲しいものを買うために食べることにお金を使うのを控えたりしていますが、当時は小学5年生。一番の食べ盛り!家でたくさん食べるのはもちろん、学校給食もお代わりの争奪戦に勝ち抜くために、「いただきます」の5分後にはすべての皿が空になるほどでした。

ところが、毎月1会の治療後の3~4日間は、歯が痛くてかむことができない。それなのにお腹は空いている。食事のたびに泣きながら、大声で
「お腹が空いているのに、歯が痛くて食べられない!僕は矯正なんてしなくてよかったのに、おかあさんのせいだ!」

とわめきちらしました。食いしん坊のうえに、彼は小さい頃から感受性が強く、自分の思うようにならないと大騒ぎをする子どもでした。デパートのおもちゃ売り場で、床の上にひっくり返って大声で泣きわめいたこともたびたびありました。

歯を使わなくても食べられる献立

あまりのうるささに、歯を使わなくても食べられる献立を考えました。マーボー豆腐、1センチくらいに折ってからやわらかくゆでたスパゲティのミートソース、マッシュポテトにミートソースをかけたり、スプーンの背でつぶせるほどやわらかく煮込んだ野菜と鶏のクリームシチュー、ひき肉の肉じゃが、乾麺を小さく折ってからゆでてつくった卵とじうどん、いろいろな野菜のポタージュスープ、ミネストローネなどは、普通につくってから、ミキサーで一人分だけどろどろにしました。

毎回、工夫してつくっているのにもかかわらず、長男のイライラは中学受験のための勉強のストレスも加わって、どんどん激しくなり、私だけではなく、治療してくださっている先生にまで向けられ、食事のたびに「こんなに痛くしやがって、今度行ったらぶん殴ってやる!」とののしっておりました。こんなにわめきちらしていても、次回、治療に行くときは、もう痛みはないし、内弁慶なので、おとなしく治療を受けました。多分、大声でわめくことで、痛みのストレスを発散させていたのでしょう。

今は冷静に振り返ることができますが、当時はあまりにもうるさくて、矯正治療をしたことを後悔していました。もっと成長して、自分で必要と思うようになってからはじめるべきだったと。ただ、もっと大きくなってからだと、なかなか治療ができないという事情がこの先、待っていました。

矯正治療と中学校生活

中学校進学

息子は中学受験をしました。入学試験の直後は、治療を入れたくなかったので、12月は冬休み前に通院し、1月は行かないで2月はじめの受験が終わってから治療に行きました。

なんとか、ひとつだけ合格できたのですが、受験したなかで一番遠い中学に通うことになってしまいました。自宅から学校まで、1時間半かかります。土曜日にも授業がありますが、学校説明会ではほとんどのクラブは週に3回くらいときいていたので、月1回の治療はなんとか通えるだろうと思っていました。

クラブ活動

息子は中学校で軟式野球部に入りました、小学生時代は外で遊ぶよりもゲームをするほうが好きな子でしたし、通っていた剣道も行くのがいやで、毎回「足が痛くて行けない」とか「お腹が痛い」とか理由をつけて休んでばかりでしたので、運動部に入ったのには驚きました。

学校説明会の話と違って、野球部は練習がない日が週に1回だけでした。クラブが終わって帰ってくるのは、毎晩8時半すぎ、はじめのうちは玄関で眠ってしまって、食事も食べられないほど疲れていました。

通院時間がとれない

中学生になって1回目の通院は、4月のはじめ、まだ授業がなくて午前中で帰ってくる頃に行きましたが、2回目は予定がわからず、なかなか予約ができません。とりあえずクラブのない日に、予約を入れ、学校が終わったら急いで診療所に直行することにしました。

息子の通っていた診療所は、最後の予約時間が5時半でしたが、最寄り駅に着いたときには5時半を過ぎていました。駅から電話をかけて、少し遅れてしまうことを伝え、息子を走らせわたしは息子の荷物をもって後からいきました。

次回は、長引くこともあるか帰りの会に出ないで、帰るよう学校にお願いして、なんとか予約時間に間に合いましたが、なんと早退扱いになってしまいました。まだ2年くらい通院するのに、毎月早退になるのも困ります。しかたがなく、絶対に早く帰ってこられる日、半日で終わる中間や期末試験の最中に通うというパターンに落ち着いてしまいました。

矯正装置がはずれるまで

当然、歯が痛くて勉強できないし、試験も集中できないという言い方がまかり通り(本当のところは、そのせいで成績が悪いのかわかりませんが)、通えないことには治療が終わらないので、治療を優先することにしました。中2の夏休みに、矯正装置がとれたときは、本当にほっとしました。

しかし、成績低迷は治療が終わってからも続きました。当然ですが、歯の痛みで試験の成績が悪かったのではなかったのです。

保定、矯正治療終了まで

保定装置と経過観察

矯正装置をはずしたら終わりになると思っていたら、歯が戻ろうとするので、保定装置をつけて、身長の伸びが止まる18歳くらいまでは定期的に通院するように言われました。

保定装置の料金2万円を請求されたのですが、支払った治療費にすべて含まれていたと思っていたので、改めて治療費の明細を探し出し確認すると、一番下に小さく「このほかに保定装置代と最終検査料がかかります」と書いてありました。

装置をはずしたすぐ後は1ヵ月後に通院しましたが、その後は3ヵ月後、半年おきになり、診療時間もほとんどかかりませんでしたので、夏休みと冬休みに通院しました。息子は高校に進学してから硬式野球部に入り、ますます病院に通う時間がなくなりましたので早めに治療を開始しておいて正解でした。

親知らずの抜歯

親知らず下が2本と上1本生えてきて歯に当たるので、生えてきた順に高2の冬休みに1本、高校を卒業したあとに1本、20歳になる直前に1本抜きました。

はじめの下の1本は冬休みの部活の練習納めが終わった次の日に抜歯し、翌日消毒に通院した後、友だちと夜行バスで大阪に出かけ、往復の車中2泊を含む3泊でユニバーサルスタジオに行ってきました。顔中腫れて痛みでほとんど何も食べられない旅行だったようですが、夏休みもほとんどなく野球三昧の日々でしたので、そんな状態でも出かけたかったようです。

保定で身についた歯磨き習慣

保定装置はしばらく経ってからは夜寝るときだけつければよくなりましたが6年間も使いました。普段はぬるま湯で洗い、ときどき部分入れ歯用の洗剤で戦場していましたが、几帳面な正確ではないので、本人以外はさわりたくありませんでした。保定装置は食事以外ずっとつけるので、食後すぐ歯を磨く習慣が身について今でも続いています。

「治療してもらってよかった」

19歳6ヵ月で通院も終了となり、長かった診療所とのお付き合いが終わりました。11年のお付き合いでした。最後にはじめの検査の写真をコピーさせていただきたいと申しましたところ、治療前の検査と矯正装置をはずしたときの写真をいただきました。治療中は文句ばかり言っていた息子がそれを見て「大変だったけど、治療してもらってよかったと思っている」と言いました。
いや、本当に大変でした。

終わり